2025.06.19
【書籍】CMC出版に掲載
ナノワイヤを用いた尿中の細胞外小胞捕集技術と機械学習を組み合わせ、高精度な尿中microRNAプロファイリングを達成できることを示した内容です。
Book chapter概略
本書籍では、ナノワイヤデバイスとAIを活用した、尿中microRNAの高効率かつ非侵襲的な解析技術を紹介しています。酸化亜鉛ナノワイヤにより細胞外小胞を効率よく捕捉し、従来の超遠心法と比べて約60倍多くの細胞外小胞を回収可能とした手法や、マイクロアレイを用いて最大2486種類のmicroRNAを検出し、従来では困難であった尿中microRNAの網羅的解析を実現した成果を扱っています。また、肺がん患者と健常者、計200名の尿データに基づき、ロジスティック回帰とL1正則化を用いたAI診断モデルを構築し、AUC 0.997、感度98.2%、特異度96.5%という極めて高い診断精度を達成した内容も紹介しています。さらに、有機ナノワイヤシートを臓器に貼付して局所分泌する細胞外小胞を回収し、組織特異的microRNAの解析や、羊水からの出生前診断への応用可能性についても述べられています。これらの技術は、がんをはじめとするさまざまな疾患の早期発見や個別化医療の推進に貢献する革新的なリキッドバイオプシー手法として、Craif株式会社を中心に臨床応用へ向けた研究開発が進められていることにも触れています。
書籍情報
ナノワイヤとAIによる尿中マイクロRNA解析と早期がん診断
阿尻大雅, 安井隆雄
AIとバイオの融合最前線, 監修:植田充美, CMC出版, 84-92 (2025)
ISBNコード:978-4-7813-1867-7