2025.02.14
【論文】ACS Applied Nano Materialsに掲載
界面活性剤を用いたイオン層エピタキシー法(ILE)による酸化亜鉛(ZnO)ナノシートの選択的成長を実現した研究です。Supplementary journal coverに選ばれています。
論文概略
酸化亜鉛(ZnO)ナノシートは、その優れた光電子特性と原子レベルの薄さにより、紫外線(UV)光検出器として大きな可能性を持っています。界面活性剤を利用したイオン層エピタキシー(ILE)は、単層ZnOナノシートを合成するためのシンプルな手法ですが、光電子デバイスの応用にとって不利となる副生成物の形成が避けられません。本研究では、ILE成長において副生成物を形成させずにZnOナノシートを選択的に成長させるための戦略を報告しています。界面活性剤の濃度を増加させることで、Zn前駆体を水-空気界面に局在化させ、副生成物の形成を抑制し、ナノシート成長を促進するための濃度域があることがわかりました。この濃度域内でZn前駆体濃度を正確に制御することにより、約1nm厚のZnOナノシートの選択的成長に成功しています。単一のZnOナノシートで構成されたデバイスは、高速応答のUV光検出(立ち上がり時間/復帰時間 = 12.3 ms/24.7 ms)を示し、従来報告されたZnOナノシートデバイスよりも短い応答時間を実現しました。
論文情報
Selective growth of ZnO nanosheets via ionic layer epitaxy for UV photodetection application
Ryunosuke Matsumura, Yuta Kazama, Hikaru Saito, Takao Yasui, Yasutaka Matsuo, Akira Nasu, Hiroaki Kobayashi, Sayuki Oka, Narathon Khemasiri, Yohei Yomogida and Kazuki Nagashima*
ACS Applied Nano Materials, (2025), 10.1021/acsanm.4c07224
ACS Applied Nano Materialsとは
ACS Applied Nano Materialsはナノ材料の応用に関連する工学、化学、物理学、生物学を網羅したオリジナル研究を発表する学際的なジャーナルです。このジャーナルは、材料、工学、物理学、生物科学、化学の知識を統合し、ナノ材料の応用へとつなげる新規かつ独創的な実験的および理論的な応用研究を報告することに特化しています。本ジャーナルの範囲内に含まれる材料として、無機・有機・ハイブリッドナノ材料、量子ドット、金属および半導体ナノ粒子、ナノワイヤおよびナノチューブ、自己組織化ナノ構造、1次元および2次元材料、ナノカーボン、グラフェンなどがあります。また、その応用先として、触媒および光触媒、センサー、プラズモニクスおよびフォトニクス、生物学・ナノ医療、エネルギー変換および貯蔵、ナノパターニングなどがあります。